コーヒーという飲み物は基本的に鮮度が命。しばらく置いておくと、酸化してどんどん味が変わってしまう…というのは、コーヒー好きなら基本のキ。「また通ぶっちゃって」と言われてしまうかもしれないけれど、フレッシュなオレンジと、鮮度の落ちたオレンジの違いといいますか。明らかに味が落ちてしまいます。
ただ、たまにこの「基本のキ」から思いっきり外れているコーヒーがあったりするんです。「六月の鹿」さんは、そんな不思議な豆を販売されている盛岡の自家焙煎コーヒーショップです。
注文させていただいたのは、
- Blend Noir
- EHIOPIA MOCHA HARAR
この2つを200gずつ。
そして、蔵書票のような金箔押しの美しいショップカードと共に、こんなお手紙が同封されていました。
しっかりと密封して適切に保管いただければお届けしてから1ヶ月程度は継続してよい状態でお楽しみいただくことができるかと思います。はじめのうちは少しあっさりとした印象の珈琲ですが1週間2週間と時間が経過するとともに味わいが増していき3週間経過した頃から特に味わいが濃くなるようなイメージで焙煎しています。
そう、「六月の鹿」さんのコーヒー豆は「鮮度命」の真逆。じっくり「熟成」を楽しめてしまう不思議な豆なんです。
届いた直後の豆を試飲してみると、とにかく香りがすごい!でも味わいは確かにあっさりとしていて、鼻を摘んで飲んでしまうと、2種類の豆の違いがはっきりとは分からないくらいです。味というよりは、香りを楽しむイメージ。
「いい香りだけれど、私好みではないかな…」と思っていたのですが、到着1週間して香りが落ち着き出した頃から、徐々に味わいが膨らみ出して。
到着直後はさっぱりしていたはずなのに、日が経つにつれて甘み・苦味・コクが出てきて、どんどん味わいが複雑化していくんです。
そして3週間目を迎える頃、味わいのピークに。豆自体の見た目にも変化が出てきて、豆の表面にしみ出した油がてらてら光るようになっていました。明らかに何かが起きてる!
「鮮度命」の豆と、「熟成」を楽しめる豆。いったいどこが違うんだろう。
普通の豆だと、「焙煎から3日後くらいが飲みごろ」と一般に言われますが、六月の鹿さんの豆はその変化を3週間までぐぐーっと引き伸ばしている印象です。
盛岡にあるお店では、この変化をマスターが吟味して一番美味しい状態のものを出すのだそう。だから、この変化は「おとりよせ」でしか味わえない。
なんとも素敵で、特別な体験だな、なんて。癖になっちゃいそうです。不思議すぎる。
http://6gatsunoshika.blog109.fc2.com/